今日はとある中学校の生徒さんが事務所へ職業体験という事で朝から来ていました。
午前中は設計事務所とは?建築とは?という全体的な話から当事務所での仕事などの話、所長へ学生からのインタビューを。

どのような資格がいるのか、主な仕事の内容だとか、どんな事が出来た方が良いとか、はたまた儲かる仕事なのかという現実的な質問も

笑
所長のインタビューも時間と共に熱が入り、学生達にはとてもいい経験となったと思います。

そしてお昼休憩を挟み、午後からは職業体験といいながらも実際の仕事(製図や模型、パースなど)を経験して貰うよりも建築とはどういう考えでもってカタチを創っていく物なのか?デザインすることとは?のような思考の根本にある物を楽しく、気負わず体感して貰いたく今回はみんなで
「パスタ建築」を作りました。
と、この「パスタ建築」ですが、僕が学んでいた学校の恩師が行っていた
授業で、実際に僕も授業を受けていました。
(後程この事について総括します。)
そして写真は僕の作ったお手本ですが、汗

このようにカタチの土台になる(今回はコップですが自由です)物の上に様々な形のパスタを接着剤を使って自由な形状を考えながら作っていくというものです。

みんなそれぞれの土台を選び、作業スタート!
土台となる物を組合せたりと、ここから
どんなカタチが出来上がるのか楽しみです^^
(最後になるとこんなカタチでは不都合がある!と頭をうって結局一つの土台になるのですが、そういう事も実際の仕事でも起こる事なので、どうしたら無理なのか?どうしたら思うカタチがつくれるのか?を考える事ができたと思います^^)

もくもくと作業しています。

あっ、こことここがくっつかない!こうするにはこうした方がいいな。。とか試行錯誤しています^^

できた順番で自分が思う一番カッコいいアングルから写真を撮ってもらいます。
じっくりカメラのモニターをみながら最高の一枚を撮る為に思案中。。

最後の仕上げとして自分のつくった作品に名前をつけてもらいます。
そして出来上がった作品を僕がレイアウトしてプレゼント^^
彼らは中学2年生の盛んな時期なのにとても集中して作品と向き合っていて、自分が中学生の時はどうだったか?・・・
などというおきまりな反省もあるのですが(笑、
純粋に彼らの集中力と物と付き合う距離感など感心しました。
そして最後にみんなの作品です。

K君作「ウミ」

H君作「へんなやつ」

K君作「X」
(名前と完成形はみなさん想像しながらみてくださいね^^)

最後に集合写真!楽しいカタチになりました^^
それぞれに個性が詰まっています。
最後にこの作業の総括ですが、実際僕が学生の頃に作った時は彼らのようにつくる楽しさを感じながらつくっていたと思いますが、それから幾年か経った今再び考えてみると色々な建築的思考が詰まっているなと
思いました。
1.カタチの土台選び
これは実際の仕事になるとクライアントやユーザーであったり、敷地であったり、環境であったりとそのモノを考える前の元となる要素です。
仕事では自ら選んでいくことは少ないですが、自ら思うカタチを作るには?を考ええたり、楽しいカタチを考えていくベースとなります。
2.パスタ選び
これまた実際の仕事に置き換えると建築で使われる素材選びや、形状を決定する構造検討などの実際にカタチに置き換える前の検討部分です。
頭の中で設計図を思い起こし、全体図を想像します。
彼らはそこまで考えていたかは分からないですが、こうしたい。や、
こうする為には?を少しでも考えていたように思います。
3.作業
設計の仕事で言えば前の段階で設計図が完成し、見積りなど予算調整も終わり、確認申請を行い、もう着工する頃です。
この段階で設計者は全体を監理する役割を持ちますが、
ここでは自ら作業します。
実際に作ることで思い描いていた物が上手くいかなかったり、
検討を要する部分が出てきます。
(仕事ではその部分は実施設計で詰めておかないと駄目ですが、少なからず現場でできる事、できない事は発生するのでその場で監督さんや職人さんたちと打合せして決めていきます。)
その検討部分が出てくる事で出来ることや、こうは出来ないけどこうなら出来る。などより良い着地点を見出します。
実際土台を変更したり、途中までつくっていたパーツをやめて違うパーツにしたり。。。
各々が試行錯誤していました。
4.完成~写真撮影
この作業の中では自ら一番良いアングルでかっこよく、素敵に見えるポイントを自ら考え写真を撮ります。
立体物ならではのプロセスですが、そのものが良く見える形に置き換えて、または考えてアウトプットしていく。そうする事で当初の思いを再確認したり、こうした方が良かったなという反省や、違う発見をする事が出来る。
5.名前付け
名前をつける。最近この事に興味がありますが、考えて名前をつけるという行為にはそれが後付けであれ、先付けであれこうなって欲しいという思いや、総体としてのカタチを与える、意味付ける事となるように思います。
そうする事で彼らが自ら作ったんだという気持ちになっていたと思います。
所々僕の思う部分が入りこんでいるので恩師の思いとは外れているかもしれませんが、改めてこの課題の良さが分かった気がします。
彼らも無意識の中では、建築の全体を統合しカタチに置き換えていくという根源の部分が体感出来、そして感性が少しでも成長できたんじゃないかと思います。
この経験が彼らの今後にとって何か意義のある物になっていれば嬉しいです^^
長くなりましたが、教える立場が逆に再び建築に向き合い、考える良い機会になりました^^
当時の作品を帰って見てみよう~ 笑
takagi